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2025.10.27

練馬区の胃がん検診|バリウムと胃カメラ(内視鏡)どちらを選ぶ?専門医が解説する「早期発見」のための賢い選択

練馬区にお住まいのみなさま、こんにちは。
練馬光が丘内科内視鏡クリニックです。

練馬区では、区民の皆様の健康を守るため、胃がん検診として「バリウム検査」と「胃カメラ(内視鏡検査)」の2つの選択肢が用意されています。これは、多様なニーズに応え、一人でも多くの方に検診を受けていただきたいという区の取り組みの表れです。
しかし、いざ検診の案内が届くと、「バリウムと胃カメラ、どちらを選べばいいのだろう?」と迷われる方も多いのではないでしょうか。
どちらの検査も、胃がんによる死亡率を減少させる効果が科学的に証明されている有効な検査です。しかし、検査の仕組みや得意分野は異なります。

この記事では、胃がん検診の最大の目的である「早期発見」を念頭に置き、それぞれの検査の特徴を内視鏡専門医の視点から分かりやすく解説します。皆様がご自身にとって最適な選択をするための一助となれば幸いです。

胃がんについて知っておきたいこと:症状がないからこそ重要

胃がんは依然として日本人に多いがんですが、医療の進歩により、早期に発見できれば治る可能性が非常に高い病気になりました。
しかし、その最大の特徴は「初期段階では自覚症状がほとんどない」ことです。
「胃の調子は悪くないから大丈夫」と思っていても、気づかないうちに進行してしまうケースが少なくありません。だからこそ、症状がないうちに定期的に「検診」を受けることが、ご自身の命を守るために極めて重要となります。

徹底比較:練馬区胃がん検診の2つの選択肢

練馬区で選択できる2つの検査方法について、その内容とメリット・デメリットを比較してみましょう。(※練馬区では、50歳以上の方は2年に一度、どちらかを選択できます)

  1. バリウム検査(胃部X線検査)の特徴と役割

バリウム(造影剤)と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、検査台の上で体を動かしながら、X線(レントゲン)で胃の形や粘膜の状態を撮影する検査です。

メリット・役割

〇長年にわたり集団検診などで広く実施され、胃がんの発見に貢献してきた実績があります。

〇胃全体の形や、比較的大きな病変(進行したがんや潰瘍など)の把握に適しています。

〇検査時間が比較的短い傾向があります。

デメリット・注意点

△見つけにくい種類の胃がんがある: 粘膜の凹凸(でこぼこ)を映し出す検査のため、平坦なタイプや、色の変化しかないごく初期の胃がんを発見することは難しい場合があります。

△身体的負担など: バリウムや発泡剤を飲むのが苦手な方もおり、検査後は下剤が必要です。また、X線による放射線被ばくもわずかに伴います。

△精密検査が必要になる場合: もし「異常の疑い(要精密検査)」が見つかった場合、確定診断のために改めて胃カメラ(内視鏡)検査を受け直す必要があります。

  1. 胃内視鏡検査(胃カメラ)の特徴と役割

口または鼻から、先端に高性能カメラがついた細いスコープを挿入し、食道・胃・十二指腸の内部を医師が直接、リアルタイムの映像で観察する検査です。

メリット・役割

〇高い診断精度: 最大のメリットは、医師が粘膜を直接目で見て観察できることです。バリウムでは捉えにくいミリ単位の非常に小さな早期がんや、粘膜のわずかな色の変化も発見できます。

〇早期発見に極めて有効: 胃がんの早期発見において、現状最も精度の高い検査の一つです。

〇食道がんも同時に発見: 胃カメラは食道も通過するため、食道がんのチェックも同時に行えます。

デメリット・注意点

△スコープを挿入する際に、違和感や「おえっ」となる咽頭反射(いんとうはんしゃ)が起こることがあります(個人差があります)。

【重要】練馬区の胃がん検診(内視鏡)のルール

練馬区の制度を利用した胃がん検診(内視鏡)には、以下の重要なルールがあります。

・鎮静剤(麻酔)は使用できません。 
 検査時の苦痛を和らげる鎮静剤は、区の検診ルールでは使用が認められていません。

・組織検査(生検)には制限があります。
 区の検診では、粘膜の組織を採取する検査(生検)は、進行胃がんが強く疑われる場合に限られます。それ以外で病変が見つかった場合は、後日改めて保険診療による精密検査が必要になります。

【比較表】「早期発見」の精度で比べてみましょう

「胃がんをできるだけ早く見つける精度」という観点で比較すると、以下のような違いがあります。

比較項目 バリウム検査(胃部X線検査) 胃内視鏡検査(胃カメラ)
検査方法 X線で「影」を撮影 カメラで内部を「直接」観察
早期がん発見精度 △(平坦・小さな病変は難しい場合がある) ◎(微細な変化も発見可能)
食道がんの発見 困難 可能
精密検査 「異常の疑い」の場合、改めて胃カメラが必要 その場で詳細な観察が可能(※生検は後日になる場合あり)
身体への負担 バリウム、下剤、検査台での体動 挿入時の違和感・嘔吐感(※区の検診では鎮静剤不可)

「早期発見」を最優先するなら、なぜ胃カメラが有利なのか

バリウム検査も、多くの方を対象としたスクリーニング(ふるい分け)として重要な役割を果たしています。

しかし、検診の目的を「命を脅かす病気を、治る段階(早期)で確実に見つけること」と考えるならば、私たちは胃カメラ(内視鏡検査)を積極的におすすめします。

理由1:バリウムは「影絵」、胃カメラは「カラー映像」

初期の胃がんには、はっきりとした凹凸がなく平坦なタイプや、周りの粘膜と色が少し違うだけのタイプが多く存在します。
バリウム検査は、胃の粘膜の凹凸を「影」として映し出す検査です。例えるなら「影絵」のようなもので、大きな凹凸は分かっても、表面の「色」や「模様」までは分かりません。そのため、平坦な病変は見つけるのが難しくなります。
一方、胃カメラは高性能なハイビジョンカメラで粘膜を直接観察します。わずかな色の違いや粘膜表面の微細な変化も、医師がその場で詳細に確認できるため、早期発見につながる可能性が格段に高まります。

理由2:「二度手間」と「不安な時間」を減らせる可能性

もしバリウム検査で「要精密検査」と判定された場合、結局は確定診断のために胃カメラを受けることになります。
これでは、時間や身体的な負担が二重にかかってしまいます。また、「がんかもしれない」と心配しながら精密検査を待つ精神的な負担も無視できません。
最初から精度の高い胃カメラを選択することは、検診を効率的に済ませるための合理的な選択肢と言えます。

胃カメラの「つらさ」が心配な方へ

「胃カメラの方が精度が高いのは分かったけれど、やっぱりつらそう」と心配されるお気持ちはよく分かります。
確かに、練馬区の胃がん検診(内視鏡)には「鎮静剤が使えない」という制限があります。

しかし、近年の内視鏡スコープは非常に細くなっており、技術も進歩しています。また、鼻から挿入する「経鼻(けいび)内視鏡」を選択することで、口からの検査よりも「おえっ」となりにくく、楽に受けられる方が多くいらっしゃいます。経験豊富な医師が丁寧に行えば、苦痛は最小限に抑えられます。

鎮静剤が使えないという点を考慮しても、直接粘膜を観察できることによる「早期発見」のメリットは非常に大きいと私たちは考えています。

鎮静剤を使用した「苦痛の少ない」検査という選択肢も

・「どうしても苦痛が不安」

・「過去に胃カメラでつらい経験をした」

・「区の検診ではなく、もっとリラックスして精密な検査を受けたい」

という方は、区の検診とは別に、保険診療や人間ドックでの受診もご検討ください。

練馬光が丘内科内視鏡クリニック、および成増駅前内視鏡内科健診クリニックでは、鎮静剤(麻酔)を使用して、ウトウトとしている間に苦痛を抑えて検査を終える方法も専門的に行っております。

この場合、区の検診の制限がないため、早期がんが疑われる病変があれば、その場で生検(組織検査)を行うことも可能です。

まとめ:ご自身に合った方法で、定期的な検診を

40歳を過ぎると、胃がんのリスクは徐々に高まります。大切なご自身やご家族のためにも、定期的な検診は欠かせません。
練馬区が提供する胃がん検診の機会を有効に活用し、それぞれの検査の特徴を理解した上で、ご自身に合った検査方法を選択してください。
そして、もし「できる限り早期に、確実に胃がんを見つけたい」とお考えであれば、ぜひ胃カメラ(内視鏡検査)を選択肢に入れていただければと思います。

当院では、練馬区の胃がん検診(内視鏡検査)に対応しております。

・練馬区の検診で胃カメラを受けてみたい方

・バリウムと胃カメラで迷っている方

・鎮静剤を使った苦痛の少ない検査について相談したい方

経験豊富な内視鏡専門医が、皆様の健康を守るために全力を尽くします。どうぞお気軽にご相談ください。

【監修】
練馬光が丘内視鏡クリニック

 

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